7月9日にPrince Tomoihto Memorial World Grand Prix 2017 Japan Track Cup II(第4回寛仁親王記念ワールドグランプリ国際自転車競技大会・2017ジャパン・トラック・カップ II)の二日目の観戦のために伊豆ベロドロームへ出かけました。
今回で4回目となるこの大会、以前から一度は観たいと思っていましたが観戦できる機会が訪れました。
しかし修善寺まで行くとなるとまる一日時間を割かないといけない。それでもできることなら外出している時間を普段の日曜日に割くことができる時間の中に納めたいと思い、いろいろと調べた結果、今回は網代駅まで電車で移動してそこからタクシーで現地に赴きました。
(東京から三島へ回り修善寺駅を利用する場合より、片道で30分ほど早く移動できるようです。)
屋内の自転車競技場というのは本当に快適で、真夏の日差しもなく空調が整った空間で椅子に座って観戦できます。
この日行われたレースは:
- 男子エリート・スプリント・予選(200m F.T.T.)
- 女子エリート・スプリント・予選(200m F.T.T.)
- 女子エリート・オムニアム I(スクラッチ・レース 7.5km)
- 女子エリート・スプリント・1/4決勝(第1回戦)
- 男子エリート・スプリント・1/4決勝(第1回戦)
- 女子エリート・スプリント・1/4決勝(第2回戦)
- 男子エリート・スプリント・1/4決勝(第2回戦)
- 女子エリート・オムニアムII(テンポ・レース 7.5km)
- 女子エリート・スプリント・1/4決勝(第3回戦)
- 女子エリート・スプリント・1/2決勝(第1回戦)
- 男子エリート・スプリント・1/2決勝(第1回戦)
- 男子ジュニア・ケイリン・決勝
- 女子エリート・スプリント・1/2決勝(第2回戦)
- 男子エリート・スプリント・1/2決勝(第2回戦)
- 女子ジュニア・ポイントレース・決勝(10km)
- 女子エリート・オムニアムIII(エリミネイション・レース)
- 女子エリート・スプリント・3・4位決定戦(第1回戦)
- 男子エリート・スプリント・3・4位決定戦(第1回戦)
- 女子エリート・スプリント・決勝(第1回戦)
- 男子エリート・スプリント・決勝(第1回戦)
- 女子エリート・オムニアムIV(ポイント・レース・10km)
- 女子エリート・スプリント・3・4位決定戦(第2回戦)
- 男子エリート・スプリント・3・4位決定戦(第2回戦)
- 女子エリート・スプリント・決勝(第2回戦)
- 男子エリート・スプリント・決勝(第2回戦)
- 男子エリート・マディソン・決勝(40km)
- 男子エリート・スプリント・3・4位決定戦(第3回戦)
と、ざっとこんな感じ。
女子エリート・オムニアムを挟みつつ、競輪の短期登録制度で世界選レベルの選手が来日してその一環で参加している男子エリート・スプリントと、2020年の東京オリンピックの種目に決定したマディソンに加えてジュニアのレースも観られる好プログラムでした。
あまりに早く着いてしまい無事に一番に入場したのですが、寛仁親王を記念した大会のため彬子女王が来られるため来賓席でパーシュートライン付近は立ち入りが制限され、そしてそのフィニッシュライン側寄りの一番いい場所は地元の方の招待席となっていて一般の観客は入れませんでした。
入口がバック側にあり、観客席のフロアに上がった途端区切られた席を観て(しかもコーステープという安易な方法で)、とても残念に思いました。
(遠くからお金をかけてきたけれど冷遇されているような気すら感じられました。)
それでもフィニッシュライン前は座れるようだったのでそこで観戦することにしました。
男子エリート・スプリント・予選(200m F.T.T.)
最初はスプリントの予選の200mフライング・タイム・トライアルから。3走目のマティウス・ブフリ選手が走り終えたあと、突然の中断。
何かと思ったらフィニッシュラインのセンサーが不調な模様でした。その場で剥がして交換して再開。
予選の一番時計は最後に出走したデニス・ドミトリエフ選手。ずっとファインダー越しに全ての選手の走りを同じフレームの中で観ていて思ったのですが、スプリンター・レーンに駆け下りる初速がすでに速い。
女子エリート・スプリント・予選(200m F.T.T.)
予選止まりだったのですが、あえて取り上げておきたいのはヘジャーブをウェアの下に着て走ったイランのファテメ・ファダヴァンドゥ選手。
女子の予選もロシアが。アナスタシア・ヴォイノヴァ選手が一番時計。
女子エリート・オムニアム I(スクラッチ・レース 7.5km)
今一番注目の日本の女子の中長距離の選手3名(鈴木奈央選手・橋下優弥選手・中村妃智選手)が参加する種目だったので一目観たい気持ちが非常に強かったのでした。
全員で8名という小人数でのレースでしたが鈴木選手・橋下選手・中村選手で上手くローテーションできる場面も多く最後に橋下選手が飛び出し1位でフィニッシュ。
女子エリート・スプリント・1/4決勝
前田佳代乃選手・太田りゆ選手・小林優香選手が予選を通過したのですが、個人的に注目だったの今年頭角を表してきた太田選手。
韓国はナショナル・チームではなくDaegu City Cycling Teamが参加。写真で先行するのは太田選手と対戦したチェ・スルギ選手。
小林選手を下したキム・ウォンギョン選手。
男子エリート・スプリント・1/4決勝(第1回戦)
短期登録制度での来日がメインのため、オランダの選手のホルダーは他のチームが代理で対応。
脇本雄太選手と新田祐大選手はホーム側でも駆け引きを。慣例的には最初の周回のバック側でしか観れないのでちょっと得をした気分。
アレクサンダー・シャラポヴ選手は第1回戦で落車してしまい再レースに。ダメージがあったのか獲れず、第2回戦を前にテオ・ボス選手を一瞥。
女子エリート・オムニアムII(テンポ・レース 7.5km)
スクラッチ・レースを1位で終え、集中してテンポ・レースに挑む橋下選手。
グレース・パン・チンゼン選手が1本目4本目まで先行していきましたが抜け出したのは中村選手。細かく1本ずつ獲るのでなくラップを成立させるために果敢なアタックを。
トラック競技は何m先行できたか、また残り何mで追いつくかが目視でわかります。250mのトラックなら1/4周差を広げれば62.5m、半周になれば125mというふうに。中村選手が広げていく距離を確認しながらこれはほぼ成功するだろうと観ていると集団から脱落した選手を広い見事ラップを達成して20ポイントが追加され1位に(ラップ達成まで常に先頭を走っていたので周回のポイントも11ポイント獲得していました)。
7.5kmだと30周回で実質ポイントを獲得できる周回は26なので、改めてテンポ・レースはラップを目指すべきレースなのだなあ、とつくづく思いました。
周囲が鈴木選手のファンの方ばかりだったのですが、構わず拍手してしまいました。
女子エリート・スプリント・1/2決勝
しばしの休憩を挟んでスプリントは1/2決勝へ。太田選手はヴォイノヴァ選手と。
しかし太田選手は第1回戦の最終周回で3コーナーと4コーナーの間でスプリンターレーンから落車。残念なことに担架で運ばれ再レースを走ることが出来ず、第2回戦はヴォイノヴァ選手の不戦勝となりました。
それにしても「何故ここで」と思ったのですが、この付近は落車で補修した箇所も多く滑りやすいのでしょうか。2020年までには一度張り替えるのでしょうが、何か残念な感じです。
落車後の走路のチェックの様子を撮っていたのですが、かなりの修復跡が見えます。
男子エリート・スプリント・1/2決勝
お昼を回って少しずつ来賓席以外の客席も埋まりつつある中、ちょうど日本競輪学校の生徒の方が数名すぐ前の席にきたのですが、 流石というか熱心にギア比のチェックを。「すげぇすげぇ」って盛り上がってました。
いきなりテオ・ボス選手とドミトリエフ選手という世界選やワールドカップ並みの対戦が。
この勝負、ドミトリエフ選手が2本とも獲って決勝へ。写真で振り返ってみると余裕の表情といった感じ。
もうひと組は脇本選手とサム・ウェブスター選手。こちらは2本ともウェブスター選手が獲って決勝へ。写真で振り返るとウェブスター選手は顔の角度が水平を保ちつつ走る感じなのだなあ、と。
男子ジュニア・ケイリン・決勝
こちらは予選は行われず決勝から。イン側からタイ、香港、日本の各2名の選手が出走。こちらは一番アウト側からスタートの中野慎詞選手。
先導がつく周回では後方に位置する形になりますが、先導が離れたタイミングで梶原選手が一気に先頭へ。先頭をキープしたまま一気にフィニッシュまで駆け抜け優勝。
(これを書いている現在、インターハイでの落車の影響で療養中ですが早く良くなって欲しいものです。)
女子ジュニア・ポイントレース・決勝(10km)
女子のジュニアカテゴリーはポイントレースでした。こちらは池上あかり選手。
イン側からスタートするのは山口伊吹選手。
10kmなので40周回。ポイント獲得が可能なのはラップを除けば4回というのはちょっと物足りない感じもします。6名が参加したのですが、フォジカル面では池上選手と山口選手が一歩抜きん出た感じで、ラップも達成しつつ後半へ。
序盤でタイのカンヤラット・ケストーンラン選手が落車してしまい終盤まで倒れていたのですが、なんとか復帰して走り出しました。しかしその途端、いきなり先頭を引き始め、最終周回のポイントも獲得して3位に入賞したのはちょっと微笑ましかったのでした。
(マカオのオゥ・ホイアン選手も同ポイントを獲得していたのですが、着順で入賞できなっかたのでした。)
女子エリート・オムニアムIII(エリミネイション・レース)
フィニッシュラインの近くにいたので、フィニッシング・ジャッジさながら最後尾の通過の様子も見ながらの観戦となりました。この種目はこの付近の席で観戦するのが面白いのかもしれません。
1本だけ「これは際どいけどどうかな」と思った時があったのですが、すかさずプレジデント・オブ・コミセール・パネルの松倉氏が緑旗が上げられ"No Elimination"となりました(観ていた側もちょっと安心できました)。
フィニッシュは鈴木選手と橋下選手との対決となり、鈴木選手が1位を獲得しました。
女子エリート・スプリント・3・4位決定戦
太田選手が落車で出走できなかったため、前田佳代乃選手が3位に。
女子エリート・スプリント・決勝
この時点で午後2時を過ぎていたのですが、未だ来賓席は空席のまま。そしてヴォイノヴァ選手とキム・ウォンギョン選手との決勝・第1回戦が始まったところ、ようやく彬子女王がご来場になり、招待席の方々が一斉に起立し始めました。球技であれば中断は可能ですが、自転車競技の中でも中断がほぼ無理なスプリントの真っ最中というタイミングの悪さ。
しかし彬子女王が席に案内されたのと、選手が最初の周回のホーム側へ戻ったところという絶妙なタイミング重なったところでスターターの藤森氏が静止を呼びかけ、一瞬ですが上手く中断へ持ち込みました。
2本ともヴォイノヴァ選手が獲り優勝しました。
男子エリート・スプリント・決勝
男子エリートは2本ともドミトリエフ選手が獲得して優勝。お馴染みのポーズも観れました。
女子エリート・オムニアムIV(ポイント・レース・10km)
女子エリート・オムニアムは最終種目へ。ここまでの獲得ポイントは鈴木選手が116ポイント、橋下選手が112ポイント、中村選手が110ポイント、マレーシアのジュパ・ソムネット選手が102ポイント。この4名の争いになりそうな雰囲気。
知人が多く駆けつけていて余裕の雰囲気の鈴木選手。
集中して挑む中村選手。
10kmということは80周回ではあるけれど、ポイント周回は8回と考えるとそうチャンスは多くないと思います。ポイント・レースはローテーションのタイミングが合わないと力があってもスプリントに絡めず「カモられる」こともあります。
鈴木選手・橋下選手・中村選手ともローテーションはよい感じ。ソムネット選手も上手く合わせてきていました。
そして鈴木選手が全ての周回でポイントを獲得し優勝!
男子エリート・マディソン・決勝(40km)
最後はぜひとも観たかったマディソン。今回は10組20名の出走とあって見応えもありました。
贔屓目で観ていたのは、途中で降りてしまったけれど最初からポイントを獲得した京都産業大学の吉岡衛選手と中井唯晶選手のペア。
オーストラリアのサミュエル・ウェルスフォード選手とケランド・オブライアン選手のペアは肩をどうにかしてしまうのでは、と思えるほどの捻りを加えたスリングで余裕が感じられるほど。
以下、タッグの瞬間の写真をいくつか。
マディソンへの思いを込めたチーム名のCS Slinger、新村穫選手と沢田桂太郎選手のペア。
日本競輪学校で目下鋭意訓練中の橋下英也生徒と小林泰正生徒のペア(あえて生徒と表記します)。
今年の日本ナショナル・チャンピオンの一丸尚伍選手と近谷涼選手のペア。
愛三工業レーシングチームの原田裕成選手と法政大学の荒井佑太選手のペア。
そして優勝はウェルスフォード選手とオブライアン選手。
男子エリート・スプリント・3・4位決定戦
第1回戦と第2回戦はオムニアムのポイント・レースやマディソンの前だったので時間軸的は前後します。
第1回戦はボス選手が、第2回戦は脇本選手が獲り第3回戦へと。第3回戦はボス選手が先行しそのまま最終周回へ。しかし第4コーナーで脇本選手が並び、最後は差し切って3位を獲得しました。
お互いを讃えあう両選手。
コミセールの方々の努力が実り、時間通りの進行で16:00までには全ての競技が終了しました。これは本当にありがたいこと。19:00過ぎには無事に帰宅できました。
以下、個人的メモ。
今回は照明を全て灯していたお陰もあるのですが、伊豆ベロドロームは観客席側からは選手が逆光になるので露光補正+1で撮影してみました。あとは招待席の方が一番前で立ち上がってスマートフォンで撮影されていてそこに被ったものがあったので、やっぱりいい席で観たいなあ、と。招待席も全て埋まるわけではないので、そのために区切るのであれば高い位置とか4コーナー寄りに設定してするべきでは、と思いました。