着衣規定に思うこと―2014年・冬

選手登録をしてからずっと疑問だったことを。

ウェアについて、競技規則には含まれないことで、実際のレースの現場で変に厳しいことを言われる場合があります。

まずは長袖の問題。UCIの競技規則のJCF版より該当の箇所を抜粋します。

SECTION 3: RIDERS’ APPAREL
Section 3 競技者の衣服
1 General provisions
1 総合規定

1.3.026 When competing, all riders shall wear a jersey with sleeves and a pair of shorts, possibly in the form of a one-piece skinsuit. By shorts it is understood that these are shorts that come above the knee. Sleeveless jerseys shall be forbidden.

競技時において,競技者は,袖付きのジャージと短いパンツ,あるいはワンピ-ス形式のものを着用する.短いパンツについては,ひざ上までのものが短いパンツと解される.袖なしは禁止する.
UCI CYCLING REGULATIONS / JCF EDITION 2014YY)

  JCF競技規則にはこうあります。

第3章 競技者の装備
第8条
(装備)
競技者の基本的装備については,UCI規則に準じ,以下のとおりとする.
1.競技者は,袖付きのジャージと短いパンツを着用する.ひざ上までのものが短いパンツと解される.ワンピース形式も認められるが,袖なしは禁止する.マウンテンバイクのダウンヒルとフォア・クロスの場合,防護用レギンズを着用してよい.

(JCF競技規則集2014年版)

 具体的に長袖や半袖については何も触れられていません。
地区車連主催の普及大会で冬場のレースだと何も言われませんが、何故かチャレンジサイクルロードレースなどのJCF管轄で行われるレースになると、長袖を着用することが禁止されている場合が多いです。

JBCFの場合だと、ジャージの登録は半袖で行っているから長袖は駄目だと。
さらに不思議なことに、トラックレースやタイムトライアルでの長袖のワンピースは一度も咎められたことがないのです。

 

次にアームウォーマーとレッグウォーマーについて。

まずはUCIの原文。

1.3.033 It is forbidden to wear non-essential items of clothing or items designed to influence the performances of a rider such as reducing air resistance or modifying the body of the rider (compression, stretching, support).
空気抵抗を減じるように競技者能力に影響をあたえるため,あるいは競技者の身体を強制するため(圧迫,引張,支持)の,付加的な衣類または物を着用する事を禁じる.

Items of clothing or equipment may be considered essential where weather conditions make them appropriate for the safety or the health of the rider. In this case, the nature and texture of the clothing or equipment must be clearly and solely justified by the need to protect the rider from bad weather conditions. Discretion in this respect is left to the race commissaires.
衣類あるいは器材は安全あるいは競技者の健康のために気象条件が求める限りにおいて必須のものとなりうる.この場合,服装あるいは器材の種類と生地は,競技者を悪天候から護る必要性により明白かつ単に正当化されるものでなければならない.この点の裁量はレース・コミセールに任せられる.

UCI CYCLING REGULATIONS / JCF EDITION 2014YY)

 続いてJCF競技規則より。

6.空気抵抗を減じるなど競技者能力に影響をあたえるため,または競技者の身体を強制するため(圧迫,引張,支持)の,付加的な衣類または物は禁じる.

ロードおよびマウンテンバイク・レース中に袖付きのジャージと短いパンツに加えて衣類と上衣または器材を着用することは,安全あるいは競技者の健康のために気象条件のみにより必要なものと認められる.
この場合,競技者を悪天候から護るという明白な観点のみにより,服装または器材の種類と生地は正当化されうる.この判断はレース・コミセールに任せられる.
(JCF競技規則集2014年版)

 これも地区車連の普及大会で注意をされた話は聞きませんが、何故かJCF管轄のレースになると、「きょうは着用していいです」「きょうは禁止です」「アームウォーマーは使用できますが、レッグウォーマーは禁止です」と言われます。JBCFは「レッグウォーマーはJCFのルールで禁止」とガイドに記載しています(禁止って…)

寒いのに膝を出して走れ、的なことにかなり戸惑いました。「コミセールも短パンで執務していただいてよいんですよ」って思いつつ。
改めて競技規則を比較すると、たぶん最後の「レース・コミセールに任せられる」の部分の解釈を間違っているのでは、と思いました。英語の原文の"Discretion in this respect is left to the race commissaires."の"this"は冒頭の"Items of clothing or equipment may be considered essential where weather conditions make them appropriate for the safety or the health of the rider. "を指していると思うのですが。

つまりレース・コミセールが使用の許可を出すというわけではなく、「競技者の健康のために気象条件が求める限りにおいて必須のものとなりうる」かどうかを判断しなさい、ということではないかと。気象条件が求めていない、他の不正のために使っているかどうかの判断を。

寒いのに規則上で禁止されていないものをあえて禁止されてしまう点については、今後改められたいと思います。

海外のレースでそんな話は聞いたことがない、とよく耳にします。

何よりも選手育成の観点からすれば、ベストなパフォーマンスができる要素としてウェアの選択は含まれているわけで、普段から実践できなかったり、素材についての知識や自分の基準が持てないままさらに上の世界に挑むのは損ではないかと思うのです。

 

(12月18日追記)

後日談を書きました。こちらもお読みいただけると幸いです。

着衣規定に思うこと―2014年・冬の続き - takeoekuni's diary