(その2から続く)
正午からは男子ジュニアのレース。107.1kmの9周回。
女子ジュニアのレースの表彰式が終わると出走時間まで少ししか時間がなく、あっという間朝と同じように前方に入るニュートラルカーやモトが隊列を整える。
定刻にスタート。
レースの行方を心配するよりも自分の昼食をどうするかが最大の問題になってしまっているのだけれど、会場周辺には特にお店もない。困った。あとで港のほうに下るまで我慢するしかないか。
女子のレースと同じように2周目は登り始めでキャラバンを待つ。
ファーストアタックはイラン・イスラム共和国チームを先頭にカザフスタンが優位か。その中に日本ナショナルチームから花田聖誠選手が食らいつく。
プロトンが通り過ぎると一刻も早くこの空腹をなんとかしたく、メイン会場付近に停めておいた自分の自転車で港のほうへ。
キャラバンの通過までに何か食べるものを探しに出かける。ガソリンスタンドの先を曲がった広い道路にあったお店に駆け込む。食料品店ではなく雑貨店だったためちょっと失敗した感じもあったけど、運よく個包装のブラウニーがあった。時間もあまりないのでこれでいいかな。
急いで買って、3周目終盤の選手の通過を見る。粒が揃っているのはカザフスタンのようだ。
港まで下りきってパームラインの手前で先ほど買ったブラウニーを一気に食べる。
そして通過するキャラバン先頭でモト・コミセールもマビックのニュートラルサービスから何か受け取っている。こちらも補給タイムの模様。
4周目は小野寛斗選手がアタック。イランから1名が反応した状態で目の前の通り過ぎる。日本チームも上手く動けている感じがあって頼もしい。
そのままパームラインのほうへ移動してみる。海を隔てて向かいには伊豆半島、そして南には利島と新島がそれほど霞むことなく見える。穏やかな海を眺めていると多くの心配ごとはどうでもよくなる。
金曜日の午後なのでさすがに観戦されている方は少ないけれど、伊豆大島在住の方に声をかけていただきしばし会話。
「どちらから来られたの?」
「あ、練馬ですね。」
「ああ、東京からですか!」
伊豆大島も東京都なのですよね、と少し微妙な心持ちになるけれど。
御神火温泉沿いのカーブは海とペロトンが撮影できそうな雰囲気。そして5周目のペロトンの通過にカメラを構え撮影する。
日本ナショナルチームとカザフスタンが上手くコントロールしている。
そろそろフィニッシュラインのほうへ戻ることにする。6周目と7周目は日本がコントロールしていたけれど、8周目の終わりまでにカザフスタンのDinmukhammed Ulysbayev選手とベトナムのThai Phan Hoang選手が上手くエスケイプした模様。
最後はUlysbayev選手が1位でフィニッシュ。かなり手前で勝利を確信したようで、スプリントで加速しながら叫びながらガッツポーズ。そして3位は花田選手が単独でフィニッシュ。
ジュニアカテゴリーはいわゆる高校生になるけれど、国の代表でもある。自分の高校生の時なんて今でいう引きこもりの境目にいるような、いわゆる落ちこぼれだったなあ、とかそんなことを漠然と思い出す。素直に羨ましく思う。
表彰式でカザフスタンの国歌を初めて通しで聞いたけど、壮大な感じのメロディーなのは厳しい風土から生まれる感じなのだろうか。
レースが終わるとコース上にあったバリアーが撤収されて一部を残し路上に日常が戻ってくる。
そしてコインロッカーに預けていた荷物持って、最初に観光協会の事務所へ行き、宿泊の割引券を発行してもらう。きょうのレースを観戦したのかどうかなど、いろいろたずねつつ世間話をする。地元の人とのふれあいもまたロードレース的な何かなのだな、と思う。
予約しておいた宿へ行く。予想はしていたけれどいろいろと古い建物で、なぜか火鉢が炊かれていて煙い。6歳ぐらいまで親戚の家に火鉢があったことを思い出したけれど、こんなに煙いものだったけかな。
夕食は同じチームに所属する柳瀬さんに教えていただいた寿し光さんへ。一日中レースを追うのは体力がいるけれど、気持ちは満たされつつ最初の日は過ごせた。
(その4へ続く)