以前から女子レースのことについていろいろと言及してきましたが、UCIのサイトに2017年のカレンダーが出揃ったので個人的に整理するために書き出してみます。
今回はウィメンズ・ワールド・ツアーについて。ウィメン・エリートのクラス1とクラス2のレースについては扱う範囲が広がるため、別の投稿でフォローします。
まずロードレースのウィメン・エリート(以下WE)というカテゴリーから。規格は男子コンチネンタル・チームと同じ。
8名〜16名の「チームの構成員としてUCIに登録された競技者」と契約された選手と、チーム代表者,スポンサーおよび,チーム代表者および・またはチーム・スポンサーによって契約されたその他のチームの継続的な活動を促進するすべての人(管理者,チーム監督,コーチ,その他)で構成。そして銀行保証も必要。
(詳細はUCI競技規則"PART 2 ROAD RACES Chapter XVIIREGULATION FOR WOMEN'S AND CONTINENTAL TEAMS"に規定されている通り。)
なお、WEチームに所属する日本人選手は存在するものの、現時点ではWEチームは日本には存在していません(ナショナル・チームについては形態が異なるためここでは分けておきます)。
そしてWEカテゴリーを対象としたレースとして2015年まではCoupe Du Monde(ワールド・カップ、以下CDM)が開催されていましたが、賞金金額の基準を上げ、以前のCDM格のレースにいくつかのレースを格上げして対象レース数を増やし、昨年(2016年)からウィメンズ・ワールド・ツアー(以下WWT)として年間のシリーズ戦として開催されるようになりました。
シリーズ戦として各レースごとの個人の総合ポイントでの年間表彰が行われます。そしてポイントリーダーにはリーダージャージ。昨年の優勝はメーガン・ガーニア選手。最優秀ヤングライダーはカタジーナ"カシア"ニアドーマ選手。
以下は今年のWWTカレンダー。全部で21レース。
ウィメンズ・ワールド・ツアー(WWT)
- 3/4 ストラーデ・ビアンケ(イタリア)1.WWT
- 3/11 ウイメンズ・ワールド・ツアー ロンド・ファン・ドレンテ(オランダ)1.WWT
- 3/19 トロフェオ・アルフレッド・ビンダ - コムーニ・ディ・チッティーリオ(イタリア)1.WWT
- 3/26 ゲント - ウェヴェルゲム(ヘント - ウェヴェルヘム)・イン・フランダース・フィールズ(ベルギー)1.WWT
- 4/2 ロンド・ファン・フラーンデレン/ツール・デ・フランドル(ベルギー)1.WWT
- 4/16 アムステル・ゴールド・レース(オランダ)1.WWT
- 4/19 ラ・フレッシュ・ワロンヌ・フィミーヌ(ベルギー)1.WWT
- 4/23 リエージュ - バストーニュ - リエージュ・フェム(オランダ)1.WWT
- 5/5 ツアー・オブ・チョンミン・アイランド・UCI・ウィメンズ・ワールド・ツアー(中国)2.WWT
- 5/11 アムジェン・ブレイカウェイ・フロム・ハート・ディジーズ・ウィメンズ・レース・エンパワード・ウィズ・スラム(アメリカ)2.WWT
- 6/4 フィラデルフィア・インターナショナル・サイクリング・クラッシック(アメリカ)1.WWT
- 6/11 ウィメンズ・ツアー(イギリス)2.WWT
- 6/30 ジロ・デ・イタリア・インターナチオナーレ・フェミニーレ(イタリア)2.WWT
- 7/20 ラ・コルセ・バイ・レ・ツール・ド・フランス(フランス)1.WWT
- 7/29 プルデンシャル・ライド・ロンドン・クラッシック(イギリス)1.WWT
- 8/11 クレセント・ヴォールゴーダ TTT(スウェーデン)1.WWT
- 8/13 クレセント・ヴォールゴーダ(スウェーデン)1.WWT
- 8/17 レディース・ツアー・オブ・ノルウェー(ノルウェー) 2.WWT
- 8/26 グランプリ・ド・プロエ - ロリアン・アグロメラション(フランス)1.WWT
- 8/29 ブールス・レンタル・レディース・ツアー(オランダ)2.WWT
- 9/10 マドリード・チャレンジ・バイ・ラ・ヴエルタ(スペイン)1.WWT
※カタカナ表記は現地発音に近い表記を優先。カレンダー上での表記が開催地の言語とは異なる場合も多く、ベルギーなのに英語の大会名で登録されていたり、ベルギーなのにフランス語で大会名が登録されていたり(ベルギー南部はフランス語圏)。なるべくそれぞれの言語でのカタカナ表記にしました。一番の鬼門だったのは"Wevelgem"で、「ウェヴェルヘム」で通ちゃってますが、実際にそんな発音になる言語は存在しないため英語読みの「ウェヴェルゲム」と補足的に一般的な「ウェフェルヘム」を表記しました。
(1/6追記)実際にベルギーで生活をされていた@yokoroboさんから、現地では"v"は"f"で読んでいないことを教えていただきました。「ウェヴェルヘム」に訂正致します。調べていてたどり着いた発音ファイルはベルギー人ではなくオランダ人が発音したもののようでした。
大会名の後ろの1.WWTがワンデイ・レース、2.WWTがステージ・レースです。
ざっと見た限りだと春まではいわゆるクラッシックでイタリアとベルギーとオランダを回ってアメリカに行くあたりまではひと区切りなのは変わらず。
今年からツアー・オブ・カリフォルニアはスラムが大会スポンサーについて、名称がアムジェンのスローガン的なものになっているが、ステージレースであることには変更は無いようです。
参加するチームは、女子については男子のワールド・ツアー・チームに相当する括りがないため、開催年の最初のWWTランクング上位20のチーム(ワンデイ・レースの場合、ステージレースは15チーム)が最低限の招待の対象となります。その他は大会ごとのWEチームとナショナル・チームが対象。
(1/10追記)上位20チーム(1月8日付けランキング)
- ブールス・ドルマンス・サイクリング・チーム Boels Dolmans Cycling Team(DLT)(オランダ)
- ウィグル・ハイファイヴ Wiggle High5(WHT)(イギリス)
- WM3・プロ・サイクリング・チーム WM3 Pro Cycling Team(WM3)(オランダ)
- チーム・サンウェブ(SUN) Team Sunweb(オランダ)
- キャニオン・スラム・レーシング Canyon Sram Racing(LPR)(ドイツ)
- オリカ・スコット Orica Scott(ORS)(オーストラリア)
- サーヴェロ・ビグラ・プロ・サイクリング・チーム Cervelo Bigla Pro Cycling Team(CBT)(ドイツ)
- アレ・チッポリーニ Ale Cipollini(ALE)(イタリア)
- サイランス・プロ・サイクリング Cylance Pro Cycling(CPC)(アメリカ)
- チーム・ヴェロコンセプト・ウィメン Team Veloconcept Women(TVW)(デンマーク)
- ビーピンク・コジアス Bepink Cogeas(BPK)(イタリア)
- ハイテック・プロダクツ Hitec Products(HPU)(ノルウェー)
- ラレス ・ワオディアルス・ウィメン・サイクリング・チーム Lares - Waodeals Women Cycling Team(LWD)(ベルギー)
- レンズワールド・クオータ Lensworld-Kuota(LWD)(ベルギー)
- FDJ・ヌーベル・アキテーヌ・フューチャロスコープ FDJ Nouvelle Aquitaine Futuroscope(FDJ)(フランス)
- BTC・シティ・ルブジャーナ BTC City Ljubljana(BTC)(スロベニア)
- ロット・ソーダル・レディース Lotto Soudal Ladies(LBL)(ベルギー)
- アスタナ・ウィメンズ・チーム Astana Women's Team(ASA)(カザフスタン)
- チーム・ティブコ・シリコンバレー・バンク Team Tibco - Silicon Valley Bank(TIB)(アメリカ)
- セルヴェット・グスタ Servetto Giusta(SER)(イタリア)
昨年は実際にWWTとしてのレースを確立できていたのは上位5チームぐらいでしたが、選手の移籍がどうでるのかが気になるところです。
最後に肝心の観戦の話。
日本での開催がないため、観戦するには現地へ赴くか(一番近いのは中国の崇明島でしょうか)、ありとあらゆる方法でストリーミングを見つけてきたり、ツイッターの断片的な情報を集めたりになりますが、それゆえの面白さみたいなものがあります。
英語がある程度わかれば、自動翻訳を頼りにかなりの情報を得ることが出来ると思います。
特にサラ・コノリー(Sarah Connolly)さんの"Unofficial Unsanctioned Women's UCI Cycling Blog | A sweary blog about professional women's cycling"には、ほぼ全てがまとまっています。
映像に関してはUCI側で大会ごとのダイジェストをYouTubeにアップされています。また昨年はJ Sportsで放映されている"In Cycle"という番組でも各大会のダイジェストと注目選手のインタビューを放映していたのでこちらも楽しみにしておきたいところです。
UCIのウェブサイトの中にWWT各大会へのリンク集ページも出来ました。こちらもご参照ください。