熱帯の花となれ、風となれ。

4:00、ゆうべ焚いた蚊取り線香が途中で終わってしまったので、一時的に睡眠を中断されましたが、思った以上の疲労感はなく携帯電話のアラームに起こされました。日本の西の端に近いこの島ではまだ全然夜明けの気配すらないですね。しばしボケーッとしているうちに隣のベッドでもごそごそと音がします。おはようございます。
この宿で食事をとろうとしたらハンモッグのある海の見える場所になるのですが、そこで食事をしていると日の昇っていない時間なのでまだゆうべの続きをやってるような感じです。
昨夜お話をした女性二名と京都から来られた50kmレースにエントリーされている方と4人でしばしダルーい感じで食事をしたりしていましたが、6:00になったので会場に向かうことにしました。
まだ夜が明け切らないので判断がつかないのですが、天候はいまひとつのよう。招集場所で昨日お会い出来なかった方にもご挨拶して、いよいよスタートです。なぜかウチのチームは皆揃って並んだりしないわけで、このあたりがいつもたいへん微妙な緊張感を自ら醸し出しているように思います。
スターターはディスカバリー・チャンネルの別府選手です。幕張でなくなぜ沖縄に?(疑問符がついてしまいますが。)緊張のスタートはスターターの緊張感のほうが上回っていたようでもありましたが号砲一発、名護市民会館前の国道58号線の3車線の道いっぱいに約240名が北を目指して走り出します。
ようやく夜が明けたばかりですが、どんよりとした天気で、暑い日差しを受けるよりはマシ、といった感じです。集団の中の位置は真ん中あたり。最初は右側に位置していましたが、もうじき左には障害物が連続してきます。それに右側は反対車線もあるので抜ききる前に前方にかぶさっていく人も出てきます。ハスって落車も避けたいところ。そのまま集団の中を真横に移動するのは不可能なので、一旦前から5分の4ぐらいの中切れ気味の人たちの位置まで下がって、無事左側に移動完了です。工藤君id:DO63と村山君が右側でひらひら舞ってます。無駄足使ってません?
先頭で6〜7名が飛び出したようですが、この貧脚で先頭まで上がるというのはあり得ないので傍観しつつ、定位置で移動していきます。
本部大橋を過ぎて今帰仁へと向かいます。今帰仁Aコープ前のコーナーを注意して過ぎるとプチ激坂を越えて最初の1時間が過ぎますが、大勢には影響ないようです。逃げた数名も視界にときどき入ります。若干、集団の速度が少し落ちますが単に引く人が少ないだけのようです。先頭あたりにいるナッシーの位置も変わらず。おさ選手がだいたい半分めぐらいで、工藤君id:DO63と村山君もだいたいその当たりといった感じでしょうか?
羽地で再び国道58号に合流してしばらく進むと数名がトイレタイムで止まります。きのうの午後、暑さ対策でさんぴん茶で水分を多めにとったのですが、気温がそれほど上がらず同じように止まって用を足したいところ。しかしそこはひとつガマンです。「排尿=血圧の低下」というハナシをマンガでですが読んだことがあったので「これはきっとパフォーマンスに影響する。」と一方的に思ったのです。
大宜味の「カニ横断注意」の標識は忘れずに見ておきます。ここで路面の濡れ具合がさっきから気になるところですが今のところは降っていません。よし、として北を目指します。
しかしそれ以上に気になっていることがあるのでした。後輪があきらかにスローパンクしているようです。まだ全行程の4分の1程度走ったかどうかですが、段差でのリムの底付き具合はどう考えても4気圧ぐらいしかないようです。しかし代輪を求めたところでシマノ10速のスプロケットがカンパにあうのかどうかも微妙なところ。それに集団のスピードも少し増してきたので今止まって代輪を求めてから集団に復帰するのは割と容易でないとの判断もあります。その判断が正しいのかどうかも結論が出ないし段差にだけ気をつかって続行ということにしました。
横風の中、国頭を過ぎ、やや小雨が降ってきました。与那トンネルを越えると普久川ダムの登りです。国道58号線からダムへの道は一瞬クネっているし路面も濡れているので注意しながら走っていると、いきなり集団の先頭で3名ほどが落ちたようです。ひとり自転車がひっくり返って側溝にダイブされたようですが大丈夫だったのでしょうか?
ここで中切れする人たちをかわしながらなんとか淘汰された100名ほどの集団にくらいつきます。まだ半分もきていないので、ここで終わってしまうワケにはいきません。おととしここで舐めた辛酸を思い出します。自分内で「速い」という認識を持っている方々も周囲にいらっしゃるようなのであまりあせらず、下りで詰められる程度に離されてみたりしながらピークを目指し、無事補給地点を過ぎて海沿いの道に出ました。ここから奥・辺戸岬への道はちょっと登ってちょっと下るの連続なので、修善寺マニアな私にはなんとかなると思えました。アヤーノ巨匠に写真を撮って頂いたり、SPACE店長にご挨拶をしたりで少しだけ余裕が出てきました。
昨日の下見で左側を片側規制しているところも覚えていたので余計な引っ掛かりもなく集団に乗れてます。ようやく100km、半分終わったところです。
白バイがいないので逃げてらしゃる方がいるようですが、今の集団なら完走はなんとかなりそうな予感。10月からこのスピードに慣れるために房総のお山を駆け巡ったことが報われそうです。
しかし、辺戸岬を過ぎてからの下りで集団のスピードが一気に上がりました。私と集団の後ろにいた数名が中切れしています。やばいやばいと追ってなんとか追いついたのですが、80kmレースの出発地点の宜名真あたりを過ぎたとたん、またまた豪雨です。オークリーをかけていたけど目が痛いほどの雨です。
沖縄で雨に打たれても寒くないのは助かるのですが、集団のスピードが上がっているのは非常に困ります。さっき集団に復帰するために使った脚の乳酸値はやんばるの山々よりも高いのです。このスピードではヤバいっす。で、ヤバいまま2回目の普久川ダムの登りへさしかかります。1回目よりも明らかにスピードが上がっています。メーター読みで30km/hを越えています。ここで完全にオールアウト。
120kmと80kmレースの先頭集団に抜かれつつ、国際レースの応援のペインティングに励まされまずは登り続けます。与那川の対岸の原生林が力強く、ここまで来れてよかった、と思いました。下りは再び豪雨で目をあけていられないほどです。
普久川ダムの補給ポイントを過ぎ、いよいよ南下を開始します。
ここからは去年の本島一周サイクリングで走ったときになんとかなった経験もあるのですが、僅かなガス欠感と僅かな体温低下感とでなかなかスピードに乗れません。後続から120kmと80kmの選手をミックスした細切れな列車が3分間隔ぐらいでくるのですが、無賃乗車はさせてくれません。微妙に速い(言い換えれば私の脚が微妙に遅い)のです。高江の売店へのわずかな起伏もしんどい。
時々後退してくる選手をかわしつつ、「完走できっかなー?」と黄昏モードで走っていたその時です。とっても合わせやすい列車がやってきましたよ。200kmのこぼれた選手も混じりつつ、ぱっと見で20名近い大所帯です。速攻で飛び乗らせてもらいました。
東村あたりも楽勝です。平良の関門を過ぎ、慶佐次ロラン局の高いアンテナが見えていよいよ源河が近くなる頃になんとか脚も回復してくれて、ローテーションにも加われました。しかもこの集団、速からず遅からずで高江あたりで抜かれた集団が限界っぽくなっているのをいいことに吸収して気がつけば40名ぐらいはいたのではないのでしょうか?
有銘の分岐を過ぎていよいよ源河の三段坂です。長い道のりももうすぐ終わりです。安心感と脚質からここで列車の連結は解除して各自の脚質で登ります。完走大丈夫!の応援がたいへんありがたい。平良の関門でのトップとの差が15分強でしたが、予習もしていたのでなんとかなるはず。あとはかんとくに教えてもらった「源河の関門が閉まらないように念を送る」だけです。
二段目のなるしま応援団にもはげまされ、いよいよ三段目の坂を越えると源河の関門です。何事もなく無事通過です。回りの数名と完走を確信し喜びを分かち合います。すぐ横のTEAM O2の方は10回も脚がつったらしく、源河関門通過が猛烈に嬉しいようでやたら話しかけてくれます。
残り2kmの表示が見えたところで、ものすごく感傷的になってしまいました。「なんだか泣けちゃうのさ。」TRY360で千葉から直江津まで完走したときも、ツール・ド・信州の5日間を走り終えた後でもこんな気持ちになったことはなかったぐらいに、自分の心の一番柔らかい部分がじわじわと刺激されます。列車も連結を解かれ、ひとりで走っていたからかもしれませんが、なんだか猛烈に嬉しい。
ガストが見えて、SPARが見えて、野球場が見えるとゴールまで1kmを切ります。GIROジャージが見えたのですが、女子レースに出たはきりさんがここにいるのはわかるのですが、同じ200kmで出走した工藤くんもいました。「1回目のダム坂でバスに乗ったろ!」と心の中でツッコミましたが、完走した嬉しさのほうが勝ちました。
ゴールして、ちゃんとレースされた皆さまにご挨拶して、後輪のプニュプニュ感を確かめてもらい、無事2005年シーズンは終了しました。お先にビールいただいちゃいますワ。
惜しくもバスに乗った組と合流してチェックインの指示とか出したり割と慌ただしく一旦この場を解散して再び宿へ。川嵜くんと野村さんが雨に濡れたレーパン姿をいいことに向かいの海でチャプチャプしてます。皆にチェックインしてもらったり洗濯だとかしてもらっているうちにセンサーを返しにまた名護市民会館へ。
今年はふれあいパーティーが市民会館の建物の中だったので食事券でタコライスだけ頂いて、偶然ゆうべ宿でいっしょだった二人連れの一人と再開して、彼女のダンナ様を交えてしばしおしゃべり。
で、おしまいのカチャーシーもしておきたかったのですが、皆さまに招集をかけて打上げです。名護市街を無駄に歩かせ失礼しました。商店街のシャッターが全部しまっていて、今日は名護の町は閑散としていました。「海牛」と書いて「カイギュウ」と読む居酒屋で打上がりました。ラブラブなお二人に単刀直入に「で、つきあってんの?」と聞くナッシーのナイスなプレイでキックオフです。本日より「若」と呼ばれることになった川嵜くんの後輩に当たる村山君と、以前にツール・ド・信州でごいっしょだった栫井君も合流です。
酔っぱらって「フォー!」とか言って終了。帰りにコンビニで朝食の買い物をして宿に戻りました。
宿につくなりまたまた雨。皆さま先におねむだったのですが、すぐに寝付けずひとりで退屈しつつもやってきた野良犬にビール飲ませたりして日付を跨いで就寝でした。